ブランドノワール 2022
2022レビュー
Technical data・・・・・・・・・・・・・
◆ 品種構成 メルロ60%、カベルネフラン27%カベルネソーヴィニヨン13%
◆ 収穫⽇ 2022年10/25〜29
◆ 畑 マサル畑、楢下畑、⽺畑、⽣居畑
◆ アルコール度数 10.8%vol.
◆ 総酸度 5.7g/L
◆ pH 3.70
◆ 樽⽐率 100%(新樽0%)
◆ ⽣産本数 1,192本
◆ クロージャー DIAM5
◆ 瓶詰⽇ 2023年4⽉21⽇
◆ 発売開始⽇ 2023年10⽉10⽇
Wine Story・・・・・・・・・・・・・・・
気象庁は2022年の東北の梅雨明けを特定不可とした。梅雨とも秋雨ともいえる日々が葉月の空を覆い尽くし、観測史上ワーストの日照時間を記録した。黒ブドウの色素であるアントシアニンは蓄積が進まず、9月以降の好天でさえ時すでに遅しの状態であった。
本来なら真っ黒のブドウが実る季節に赤く実った房を眺めながら、どのように醸造したら美味しくなるだろうかを考えていた。黒ブドウとして生を受けたからには色素を活かして醸造してあげたいところ…しかし抽出の行程を経れば未熟な部分もまたワインとして表現される。苦渋の決断となったが、特に色づきの悪いブドウは全て抽出をせずに全房プレス、つまり白ワインの様に果汁を扱い発酵させるトライアルを行った。本来ブランドノワールはシャンパーニュのお家芸であり、生粋のボルドー系品種を使って行う方法ではない。もしかしたら【ピノグリから出来るトロトロの食感がある白ワイン】に近いワインが醸造できるかもしれない。
ワインに品種の名残は無い、それは品種を活かしているとは言い難い。しかし自分たちの都合で捨てる事もなかった。来年は赤ワインになろうね。実った価値は活かせたワインとなった。
Technical Supplements・・・・・・・・・
熟度の進みが特に遅れた房を収穫時点で分け、圧力を最小限に全房プレスを行いました。うっすらとピンク色の果汁を速やかにタンクへ移し発酵管理を行いました。Co-inoculationによる発酵が進むごとに色素は脱色され終了時点ではクリーム色の様な色合いまで還元されていました。やや時間を置き、古樽へ移し冬の間は樽の中で静置しています。同じような醸造をした品種違いの樽同士をブレンドの為にタンクへ澱引きし、再び樽へ戻し亜硫酸で固定しました。瓶詰め時期は非常に悩みましだが、本来的には樽で夏を越せるほどの酒質では無かったので4月に瓶詰めを行っています。貯蔵中にはバトナージュはしていませんが、明らかに普通の白ワインでは感じないトロっとした食感がありました。香りに魅力的な白桃、杏子のニュアンスと僅かにスモーキーな印象、優しい酸味やエキス分と、食感はイメージしていたピノグリに近いものがありました。品種の個性は薄まりましたが、グリーンな印象なくバランスのよい白ワインです。