壺マンサン&アルバリーニョ2021
◆プティ・マンサン◆
山形県のワイナリーでは初めて栽培醸造したフランス南西部ポー原産の品種です。白ブドウながら、初冬を迎える頃まで実らせる事が出来る驚異のポテンシャルを持ちます。圧倒的な糖度・酸度の数値の高さに比肩する他品種は滅多に無いでしょう。現在(2023.11)は合計で0.7㏊の畑を一文字短梢栽培で管理しています。排水性の良い粘土質土壌で優良な桃畑だった所を改植しました。品種に備わる高貴で官能的なアプリコット、黄桃、蜂蜜のような香りを活かした甘口から、高アルコールを活かした飲みごたえのある辛口まで用途の幅が広いのも特徴です。様々な品種との親和性も高く、今後の【かみのやまブレンド】の中核を成す重要な品種と位置付けています。
◆アルバリーニョ◆
山形県では初めて栽培醸造したスペイン原産の品種です。
湿潤な気候風土でも耐病性があり、糖度・酸度ともに他の品種より安定して高水準な事から、園主の木村が2011年頃から着々と拡大してきた期待の品種です。
現在(2023.11)は合計で約2.2㏊の畑を一文字短梢栽培で管理しています。礫の多い赤土が主体の3枚の畑からは、今後アルバリーニョだけで約12,000本以上の醸造を目標にしています。
白桃やレモンティーの様なハッキリとした香りと厚みのある酸味が特徴のワインが生まれ、
【かみのやま産アルバリーニョ】は山形や日本の食文化に大きなインパクトを残すようになるでしょう。
2021 レビュー
Technical data ・・・・・・・・・・・・・・
品種構成 | プティマンサン48% |
アルバリーニョ47%・シャルドネ5% | |
収穫日 | 2021年10/4、10/22、11/17、 |
畑 | 植ノ山畑、大門畑、原口畑 |
アルコール度数 | 13.2%vol. |
総酸度 | 4.7g/L |
pH | 4.20 |
樽比率 | 100%(壺48%・新樽47%) |
生産本数 | 600本 |
クロージャー | DIAM10 |
瓶詰日 | 2022年9月1日 |
発売開始日 | 2024年1月9日 |
Wine Story ・・・・・・・・・・・・・・・・
【自分で造った壺で仕込んだワインを飲みたい。】
一人の作陶家の夢がワイナリーに託されてから3年目に叶うことになりそうです。
ワイナリーに壺が届いたのは2020年でしたが、実際に仕込んだのは2021年。初めての壺でしたので準備まで時間を掛けて、渾身の一本に仕上げるまで練り込みました。
壺で仕込むことで適度に解れたプティマンサンと、新樽で仕込んだ貴腐つきのアルバリーニョを等量ブレンドし、個性の強さを繋ぐ緩衝材としてシャルドネをブレンドしています。毎年は仕込めない条件がいくつも重なって生まれたワインです。
黄金色のワインからは沢山のエキゾチックフルーツのコンフィチュール、トフィ―、ジャスミン、沈丁花に包まれ、そのままで陶酔するような膨大な香りの束があります。味わいは香りのインパクトを更に強め、大らかな酸味は口を滑らかに流れます。適度なタンニンはグリップを高め、苦味は後半を引き締めます。
Technical Supplements ・・・・・・・・・・
11/17収穫のプティマンサンはスキンコンタクト、全房プレスと果汁を分け、ブレンド後に壺へ移動しました。壺で仕込んだこともないのに酵母添加はせずに発酵がスタートするのを待つという暴挙。不安で一杯でしたが…何とリング状のコロニーが液面に現れ微生物みずからが合図を送ってくれました。【万事オールOK、迷わずいけ】 発酵終了後は古樽へ移し貯蔵しました。
10/22収穫のアルバリーニョには貴腐が優勢で付いていた房を全房プレスし果汁清澄後に新樽で発酵させていました。こちらは酵母を添加し、不用意な残糖を残さないように見守っています。樽の雰囲気が強くなる前に古樽へ移動し貯蔵しています。
10/4収穫のシャルドネはプライベートリザーブシャルドネ2021の原酒です。つまり私達の中で極上のシャルドネ。
それぞれ個性が強くあったので別々に瓶詰めしようと思っていましたが、試しにブレンドしてみたらお互いの個性を更に強く主張してくるような原酒になりました。そこへシャルドネが入ると何とも円くなることに関心しました。シャルドネは品種同士の手をつなぐ緩衝役としても重要な品種です。