ソーヴィニヨン・ブラン2022
◆ソーヴィニヨン・ブラン◆
上山では栽培例の非常に少ない品種です。
現在(2023.11)は合計で0.6㏊の畑を一文字短梢栽培で管理しています。ワイナリーから程近い植ノ山畑(0.2㏊)と生居畑(0.4㏊)の2か所の畑には、それぞれ性格の違うブドウが実ります。礫の多い赤土が主体の植ノ山畑は、比較的早熟で黄色く完熟したブドウが実ります。粘土質が混ざる赤土の生居畑は、1週間ほど遅れての収穫期。緑色~黄色になりかけたフレッシュなブドウを多く実らせます。
2種類あるソーヴィニヨン・ブランのワインは、このような畑の個性の違いを反映させています。
【かみのやまの爽やかな風】を連想させるワインに仕上げています。
2022 レビュー
Technical data ・・・・・・・・・・・・・・
品種構成 | ソーヴィニョン・ブラン93% |
アルバリーニョ7% | |
収穫日 | 2022年9/16、17 |
畑 | 生居畑、植ノ山畑 |
アルコール度数 | 11.5%vol. |
総酸度 | 9.8g/L |
pH | 3.10 |
樽比率 | 0%(新樽0%) |
生産本数 | 1330本 |
クロージャー | DIAM10 |
瓶詰日 | 2023年4月21日 |
発売開始日 | 2023年12月4日 |
Wine Story ・・・・・・・・・・・・・・・・
ウッディファームではこれまでソーヴィニョンブランへ20VTはプティマンサン、21VTはシャルドネとブレンドしてきました。さて2022年は…。
夏の太陽が少ない中、必死で耐え抜いた僅かなソーヴィニョンブラン。そこへ収穫量がワイナリーで一番多くなったアルバリーニョを僅かにブレンドしています。双方の香りの主たる成分はチオール類とテルペン類で区別され、それぞれ引き出し方が異なります。当初はブレンドするつもりはありませんでしたが…醸造中の様々なハプニングにより偶発的に生まれました。
ワインは例年より黄色が強く、僅かな曇りが見られます。開けたての香りにはパッションフルーツなどのエキゾチックな果実味が主体的です。そこへ白桃やレモンなどのテルペン類を感じる事で、普段のSBよりも表現の幅を感じるでしょう。数値上では強力な酸味も、澱がかすかに舞う状態である事で厚みが付与されジューシーに感じます。あまり熟成向きではありませんが、ブドウの成長から見ている私達にとって、やっとワインになってくれた愛おしいソーヴィニョンです。
Technical Supplements ・・・・・・・・・・
8月の日照時間が過去最低となった2022年。早熟系品種であるSBは酸度が高いまま、熟した房から実割れしていく様子。また21VTから悩まされていた晩腐病が深刻化しました。予定収量の60%減、開業して3年目の2015年の水準の収量です。なんとか収穫できた約2トンから更に選果し、漸く得られた果汁は1000Lがやっとという状況でした。Phの低さや酸度の高さから亜硫酸を限定してプレス後の果汁清澄を待っていましたが、途中から野生酵母が発酵を開始しており…【過去に例がないスピードで】。目標の濁度よりも濃い目でデブルバージュする事になりました。2022VTのスタートから出鼻をくじかれる事態が続き、吐く息の量がいつも以上多い中、発酵も不安のまま推移しました。深刻な還元状態が何回も垣間見られ、澱引きを繰り返し行っています。悪い状態の澱は無くなりましたが、このままではワインが非常に痩せていく事が懸念されたので、丁度発酵が順調に終わったアルバリーニョの新鮮な澱をソーヴィニョンブランへブレンドしています。春になり、ワインはいつもの水準よりも濁りが見られましたが、清澄を待って洗練させるよりも僅かな澱がらみの方がボディーも感じられると判断し、やっとの思いで瓶詰めした記憶に残るワインです。