植ノ山シャルドネ 2020
[シャルドネ]
全国的な栽培例の多さから、見落とされがちですが山形県はシャルドネの一大生産地です。
じつは大変古くから、かみのやまで栽培されている品種です。
現在(2021.4)は合計で0.9㏊の畑を一文字短梢栽培で管理しています。礫の多い赤土が主体の植ノ山畑(0.5㏊)と粘土質が混ざる赤土の生居畑(0.4㏊)の2か所の畑から安定して収穫されます。
シャルドネには特徴的な風味がなくニュートラルであることから【風土を映し出す鏡】とまで言われます。
【かみのやまの風土】を一番わかりやすく体感できるようなワインに仕上げています。
2020レビュー
Technical data・・・・・・・・・・・・
◆ 品種構成 シャルドネ90%プティマンサン10%
◆ 収穫⽇ 2020年9/29〜10/1
◆ 畑 植ノ⼭畑、原⼝畑
◆ アルコール度数 12.6%vol.
◆ 総酸度 5.7g/L
◆ pH 3.80
◆ 樽⽐率100%(新樽38.2%)
◆ ⽣産本数 1,158本
◆ クロージャー DIAM10
◆ 瓶詰⽇ 2021年9⽉4⽇
◆ 発売開始⽇ 2023年10⽉10⽇
Wine Story・・・・・・・・・・・・・・・
コロナ過で【あたりまえ】だった事が制限された2020年。追い打ちをかけるような7月の豪雨は最上川を決壊させ不安のまま過ぎていった。しかし梅雨明け後には晴天に恵まれ、山形には一度も台風が近づくことなくVTを迎えた。たわわに実るブドウ、生活環境の変化はあれど素晴らしい状態で私達の手の中にある。見通しの立たない世の中でも、また皆でマスク無しで会食できる日まで貯蔵できるワインを醸すことを念頭に収穫コンテナを満たしていった。
植ノ山畑の中でも特に優れた木のみから生まれるシリーズ。19VT同様にプティマンサンによるエキスと酸の補強を行っています。純粋なシャルドネの味わいとは異なりますが、ブドウの個性だけで補完しあう関係こそが【無理】や【無駄】のないドメーヌだから出来る真骨頂だと感じます。年による【ムラ】は、VTの表情をありのまま伝える場合は必要なもの。収穫期の晴天に恵まれ完熟した印象がダイレクトに伝わりますように。
Technical Supplements・・・・・・・・・
2020年7月に山形を襲った線状降水帯は一級河川【最上川】を決壊させ、上山も市中心の川がオーバーフローし冠水しました。世情も踏まえVTへの不安はますます高まる中、8月以降は晴天に恵まれ台風もなく私達は期待の方が大きくなっていました。
20VTより収穫による指示は【あいまいさ回避】を徹底しました。やれ黄色い房をもぎましょう、美味しそうな房を…etcといった個人の尺度に任せた指示ではなく、全ての木をワインメーカーが味覚でチェックし、熟度によって木に印を付けて周りました。結果はすぐに搾汁後の糖度に出ました。暫くシャルドネで見たことが無かったBrix21.1を確認し、翌年以降は必須作業にしています。発酵は全て新樽を含めた樽で行い、年内中にMLFまで完了させています。翌春、樽から澱引きしブレンド後に再び樽へ戻し亜硫酸を添加しています。ウッディのシャルドネはバトナージュとの相性が良くないと判断し、19VTより行っていません。瓶詰めから十分な熟成期間を経て、当初のエステルは落ち着き今は樽香との一体感を抜栓直ぐから楽しめるでしょう。